藤田社会保険労務士事務所でございます。

当事務所では、経営者・労務管理担当者のみなさまのお役に立つ情報を、メールマガジンにて配信しています。

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」の全面運用が始まり、
多くの企業様から「具体的に何を変えればいいのか」「既存の契約書のままで本当に大丈夫か」といった切実なお話を耳にしております。

この法律は、単なる法的な「規制」にとどまらず、多様な働き方が広がる現代において、
外部パートナーと強固な信頼関係を築き、企業の持続的な成長を支えるための規律となっています。

しかし、多くの経営者様や担当者様が「リスクの実態が見えない」と不安を感じていらっしゃるのも事実です。
本日は、累計3万件を超える相談データから見えた「打ちたい対策」をお伝えいたします。

3万件の相談実績から読み解く「法的リスク」の正体

厚生労働省の「フリーランス・トラブル110番」には、令和5年度だけで8,986件の相談が寄せられ、累計数はすでに3万件を突破しました。

  • 報酬関係のトラブル: 約40%(不払い、支払遅延など)
  • 取引条件の未交付・不明示: 約30%(書面が出ない、業務範囲が曖昧など)

→注目すべきは、「トラブルの約70%は、書面管理の徹底だけで防げる」という点です。
こうしたトラブルは決して「悪意」によるものではなく、その多くが「これまでの商習慣」から生じており、運用の仕組みを整えることが最大の防御と考えます。

現場が注視すべき「3大必須要件」と落とし穴

1. ハラスメント防止体制の整備(法第14条)

  • 現在、労働局による行政指導(助言・指導)が最も多く発生しているのが、この第14条に関する違反です。「雇用関係がないから」という考えはもはや通用しません。
  • 必須項目: 既存の従業員向け相談窓口をフリーランスも利用できるよう対象を拡大し、周知すること。
  • 見落とし注意:非営利団体(NPO等)であっても、事業活動を行う場合は本法の適用対象となります。

2. 中途解除・不更新の30日前予告(法第16条)

  • 6ヶ月以上の継続委託を解除する場合、30日前までの予告が義務化されました。
  • 重大な警告: 「口頭での予告」や「口頭での理由説明」は法違反とみなされるリスクが非常に高いです。
    行政指導の事例でも、口頭で行ったために改善を求められるケースが頻発しています。
    予告も、フリーランスから請求があった際の理由開示も、必ず「書面または電子メール」で行うフローを確立してください。

3. 募集情報の的確表示(法第12条)

  • 求人プラットフォームやSNS等で募集する際、以下の「6項目」を正確かつ最新の状態で表示する義務があります。
    ①募集主の名称、②所在地、③連絡先、④業務内容、⑤就業場所、⑥報酬額・支払条件
    →「目安の報酬額」を記載しないことも、誤解を招く表示として指導の対象となります。

今日から取り組むべき「3つのアクション」

大規模な投資は不要です。まずは現行の運用フローを見直すことから始めましょう。


アクション1
契約書テンプレートの刷新 法定事項を網羅し、支払期日を「給付を受領した日(納品日等)から60日以内」に厳守する体制を整えてください。
支払遅延は最も多いトラブル要因ですが、起算日の解釈ミスが法違反に直結します。

アクション2
社内窓口規定の改訂 ハラスメント相談窓口の対象範囲に「特定受託業務従事者」を含めるよう明文化し、プライバシー保護と相談を理由とする不利益扱いの禁止を周知してください。

アクション3
解除プロセスの「文書化」ルール化 「30日前予告」と「理由開示」を、必ずメール等の記録が残る形で行うよう、現場担当者へ徹底してください。

組織強化の好機として

法対応を「負担」ではなく、優秀な外部パートナーに「選ばれる企業」になるための好機と捉えれば、数年後の組織力に大きな差がつきます。
組織強化を望まれる企業様に対して、当事務所では、以下のような個別サポートも承っております。

  • 契約書・発注書テンプレートのチェック
  • フリーランス対応を網羅したハラスメント規定のアドバイス
  • 労働者性との判断

「自社の現状で本当に大丈夫か」と少しでも不安を感じられましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。